今日はA様にご注文をいただきましたモーニングコートの出来上がりをご紹介させていただきます。
モーニングコートを着る機会というのは非常に少ないですが、A様は一年に、卒業式と入学式の2回ご着用の機会があるということでご注文をいただきました。
フロントボタンは『太鼓ボタン』仕様にしております。
これは2つのボタンを裏合わせにつないでおり、鼓のような形に見えるのでそう呼ばれています。普通の上着のように掛けることもできます。
ベストのフロント裾は、上着から均等に見えていることが、バランスの良い、美しいモーニングコートの条件の一つです。型紙作成する上でも重要な箇所になります。着用すると見え方が変わってきますので、仮縫いで微調整いたします。
内閣の組閣式の画像などを見ても、ベストが均等に見えている方はなかなか少ないです。
(そのあたりを注意して見るのも面白いです)
また、モーニングコートのクラシックなディテールとして式辞用紙を収納しておく『状差し』というものがございます。
『状差し』はコロモの後ろの短冊部分の裏側に作った忍びポケットで、手を後ろに回してベントの間から式辞などを出し入れできる仕組みになっています。
挨拶で壇上に上がる際、式辞を手にして上がるのはあまり格好の良いものではございませんので、短冊の裏側に式辞を忍ばせておき、壇上に上がってからスッと取り出す、というものです。
レンタル衣装では付いていない場合もございますが、当店では標準でお付けしております。
モーニングコートを着用する場合は、やはり少し貫禄があるよう見せたいので、あまりタイトには作らず、少しゆとりを入れたお作りさせていただいております。