まず最初は、グレーのサキソニーのパンツを履いたコーディネイト写真をご覧いただきながら、詳細をご説明させていただきます。
ちなみにこのパンツは当店で以前にお作りいただき、ブログでもご紹介させていただいたものをお履きになっています。(2009年3月20日のブログです)
コートの中には、オーダーシャツにハイゲージのニット、ストールを巻いて手袋もはめていただいています。これは手袋をはめるのとはめないのとでは袖口の見え方が変わる為です。
コートの場合、手袋をはめることを想定しないで仮縫い時に袖丈や袖口幅を決めると、手袋をはめた時に手先にボリュームが出て、袖丈等が短く見える場合がありますので、仮縫い時に注意が必要なところです。
T.Sさんは仮縫い時に、何度も手袋を着脱しながら一番バランスの取れる袖丈を探っておられたのも印象的でした
着用時の下衿のロール感も、ブログをご覧頂いている皆様に出来るだけ感じていただけるように、あえて第一ボタンを外して頂いています。また下の二つを止めていただいてるのは、ボタン間隔や身頃に対しての打ち合いのバランス等を写真でもわかり易くする為です。
普段は一番下だけ外してもOKですし、真ん中だけを止めてもOKです。もちろんボタンを全部とめてもOKですし、ピーコートですから上前と下前を左右入れ替えて止めることもできます。
このあたりは厳格なルールのあるスーツ等のボタンの留め方と違うところですね。
こちらの斜めからの画像は、上衿を少し立たせ気味にしています。正面のからの写真より胸のドレープからウエストにかけての立体的なラインがはっきりわかると思います。脇腹付近もはっきり見えるようにT.Sさんに左肘を少しだけ曲げていただいてます。T.Sさんがこだわられる全身とのバランスもわかるのではないかと思います。
上衿の全体は見えていませんが、立てて着た時の見え方や雰囲気もある程度お分かりいただけると思います。
このドレープラインと立てた上衿を、立体的にロール感を持たせ、カッコ良く見せる為の『型紙の設計』・『アイロンワークをともなう縫製』がピーコートにおいて非常に難しい部分なのです。
こちらは少し動いた時の感じをご覧頂けると思います。それとT.Sさんはスーツの時もそうなのですが、身頃全体に対する袖の太さのバランスを、着心地のことも考えながら非常に重視されます、もちろん写真をご覧いただいてもわかる通り、長身で手足の長いT.Sさんですから、幾分太くても腕が短くは見えないのですが、それでも細かくバランスをチェックされます。稼動域を殺さず、どれ位ならご自身にとってベストなのかを仮縫い時に探られます。
今回は仮縫い時に少し細めに仕上がっていて、ウエイトがある生地ですのであまり細い過ぎると肘の部分がごわごわして、「肘の曲がるところが皺だらけになる可能性があるね」と言われて、裁断士と相談した結果、肘から袖口にかけて最終7ミリほど太くされました。
ちなみにモードブランドなどで袖が極端に細い物もありますが、その場合は生地が柔らかく軽めの物がセレクトされている場合が多いと思います。逆にミリタリー系の物は、多少低い袖山の太い袖が付いている傾向があると思います。
ここからの2枚は、パンツを白のデニムに着替えていただき、スニーカーを履いて撮らせていただいています。
パンツは『リーバイスのホワイトデニム』、スニーカーは『コンバース、白のハイカット』共に男の永遠の定番のアイテムです。例えるなら大人の冬のマリンルックって感じでしょうか(笑)
ボトムに白のパンツを合わせると、ガラッとイメージが変わります。
雑誌のイタリア人のスナップ等でもよく見かける『冬の白パンツのコーディネイト』は、それだけで爽快感が出ますね!
カジュアルに着ても、ドレスに着ても全く違和感がないのがお分かりいただけると思います。
T.Sさんに他に何を合わせたりしますか?と質問しますと、「ボトムが白の場合、足元を濃色のスエードのブーツやWモンクあたりで引き締めたら、また少し印象が変わると思うし、以前に見たラルフローレンのコレクション写真みたいに、紺の上着にくすんだ赤系のモールスキンのパンツみたいな組み合わせもいいし、映画の『処刑人』の2人みたいに、色落ちしたデニムにワークブーツ、黒のタートルを着て渋くラフに着こなしてもピーコートはかっこいいなぁ。だけど僕のキャラじゃ多分あの感じの渋い雰囲気はおそらく出せないし・・・」と笑いながら仰っていました(笑)
T.Sさんは今回の撮影時と同様、仮縫い時にも、完成後にコーディネイトされるであろうアイテムを、ある程度お持ちになり仮縫いに挑まれます。服単体のバランスだけでなく、ご自身の体型とのバランスも大切にする方なので、真夏にもかかわらずシャツやセーター、手袋にストール、そしてマフラーもボリューム違いを2枚持ち込まれました。
写真ではトルソーと着用でボリューム感の違うのを巻いていますが、これも仮縫い時からT.Sさんが持ち込まれていた物です。「巻物のボリュームによっても襟ミツの位置が多少変わるから上衿の見え方や身頃の前下がりの変化にも気をつけないとバランス取れないでしょ?」となにげにいつも通りのこだわりぶりでしたが、記録的猛暑の中での仮縫いでしたので、カシミアのマフラーをされながら「流石に暑いね」と額に少し汗をかきながら笑っておられました(笑)。
今回の撮影の当日は週末で当店のお客様が多くご来店されていたので、お客様とT.Sさんはご一緒にお話や談話されながらの合間合間での撮影となりましたが、ブログをご覧いただいている皆様に少しでもわかり易い写真を撮りたい一心で、T.Sさんにお願いして替えのパンツや靴をお持ちいただき、途中で着替えもしていただきました。
私は「もうちょっと右向いて下さい」「手を腰に当ててもらえますか」などと、勝手な注文をつけ、ほとんど『わがままカメラマン』状態でした(謝)。
その時ファインダーを覗きながら思ったのは、トルソーに掛けた服より断然着られていたる時の服のほうがドレープラインが綺麗にでて美しいということでした。
皆さんは写真をご覧になられてどんな印象をお持ちになられましたか?
本当にT.Sさんご苦労様でした。ブログ搭載許可や当店のサンプル作りへのアドバイス等惜しみないご協力本当にありがとうございました。
いよいよ次回『Part4』より、『”Tailor KATSURA”オリジナル・オーダー・ピーコート』をご紹介させていただきます。
今回のT.Sさんのピーコートと比較して見ていただくと、より楽しく見ていただけると思いますし、皆様のピーコートへのお好みもはっきりしてくるのでは、と思います。
じゃ〜ん、『”Tailor KATSURA”オリジナル・ピー・コート』ちょっとだけお見せしますね(笑)。
お楽しみに!!
