2012年04月18日

2012お仕立説明 Part6『当店のフルオーダー・Royal(ロイヤル)仕立の 出来上がりまでの流れ』

Part5の最後に、『フルオーダー』におけるお客様のイメージと出来上がりの差異に触れ、それを無くしていくことがテーラーの重要な課題の一つだ、と書かせていただきました。

そして、その『お客様のイメージと出来上がりの差異』は決して全くかけ離れたものではなく、ごく僅かなものなのでご安心下さい、とも書かせていただきました。

しかし目指すところはパーフェクトなスーツ!!それが出来るのもまた『フルオーダー』の良さなのです!!

では、どのようなことに注意して進めていけばパーフェクトなスーツに近づけていくことができるのでしょうか?

今回は当店の『フルオーダー』の進め方を例に上げ、その流れをご説明させていただきます。(各テーラーにより進め方は違うと思いますが、目指すとことは同じだと思います)

スーツ作りにおいては、まず店頭スタッフ(営業)が中心となってお客様のご要望をお伺いいたします。そして店側からもご質問をさせていただき、お客様のイメージとズレが出ないようにしっかりお話を伺いします。

お客様のご要望を一通りお伺いした時点で、まず生地をご提案させていただきます。もしご希望に沿う生地がなければ、お時間をいただいて再度ご提案させていただきます。

次にデザイン、ディテールを詳しくお伺いし、生地との相性などを考えながら具体的に詰めていきます。

一通り決まりましたら次は採寸ですが、その前にパターンナー(裁断士)にも今お客様からお伺いした内容を説明し、必要に応じて裁断士からも確認させていただきます。そしてお客様、営業、裁断士が共通の認識を持ったところで採寸にかからせていただきます。(ここまでは当店ス・ミズーラと同じ流れです)

次に裁断士は仮縫いに向けて生地の裁断を行います。必要に応じてハサミを入れる前に、営業も生地に描かれた裁断線が、お客様のご要望とズレがないか確認いたします。その際、営業が直接ラインを書き示し、裁断士に修正を指図することもあります。(一般的には、営業が裁断線を修正することはなのですが、口伝えでは微妙な修正が難しいので具体的に書き示します)

次に仮縫いです。仮縫いは裁断士が主体となって行います。営業はお客様のご要望が正確に仮縫いに反映されているかどうか細かくチェックしていきます。裁断士は技術的な部分の確認を、営業はデザインや全体のバランスを確認をしていきます。仮縫後、再度営業と裁断士で打合せを行います。そして間違いのないように細心の注意を払って裁断士は最終補正を行います。

そしていよいよ縫製職人による本縫いです。
(ここからス・ミズーラと進め方が変わってきます!)

裁断が終わり、後は縫製職人に任せておけばもう安心!!いえいえ、ここからも重要なのですよ!!
「きっちり裁断されているのだから、誰がどう縫っても出来上がりは同じじゃないのですか?」と思われるかもしれませんね!

しかし同じ裁断でも職人が違えば出来上がってくるスーツの雰囲気が違ってくるものなのです!
それに、縫製職人はこれまでのお客様との打合せの内容を知りませんので、きっちり説明する必要があります。

縫製上の注意事項は、裁断士の方から縫製職人に説明いたしますが、技術的な説明と同時に、お客様のご体型の特徴やお好みも合わせて伝えます。さらに、営業からも直接職人にお客様のご意向を伝えます。時には職人にスケッチや画像を渡して説明したり、場合によっては動画を見せて説明する場合もございます。
『本縫い』はただ生地を縫い合わせていけばいいというものではなく、イメージに沿ってスーツを立体的に仕上げていく作業なのです。

縫製の途中でも職人と確認を取りながら縫製を進めていきます。職場に行き細かな修正事項を伝え、やり直してもらうこともあるんですよ。

そしていよいよ出来上がったスーツをお客様にご試着していただきます。私どもが最も緊張する瞬間です(笑)。もしここで修正事項があれが、手直しをさせていただいてご納品となります。

以上が当店フルオーダーのお承りからご納品までの大まかな流れです。

『ハンドメイド』による『フルオーダー』は、非常に微妙な手加減の世界ですので、何度も確認し、コミュニケーションをとりながら進めさせていただいております。

しかしこれは、縫製職人が一人で最後まで責任を持って縫い上げる、いわゆる『丸縫い』ゆえにできることなのです。

次回は『当店のフルオーダー・Royal(ロイヤル)仕立の概要』についてご説明させていただきます。
posted by Tailor KATSURA at 15:56| Comment(2) | TrackBack(0) | クラス別お仕立説明
この記事へのコメント
こんにちは。
料金に関して二点ほど。

英国生地でスリーピースを仕立ててもらった場合、仮縫い付き素ミズーラだとお値段はどうなりますか?

ゼニアが98000円からとのこと。
イタリア生地で貴店クラシコモデルでスリーピースは変ですか?
Posted by スリーピース大好き at 2012年04月23日 12:25
こんにちは。
英国ジョンフォスターという生地でスリーピース仮縫付で109200円〜になります。あとは生地により値段が変動いたします。

イタリア生地でスリーピースですか?変ではないですよ。スリーピースというと英国ですが、柔らかい雰囲気でスリーピースを着用されるのでしたらイタリア生地、クラシコモデルの組み合わせもいいと思います。

カツラ
Posted by at 2012年04月23日 15:56
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