今日は、お仕立上り後のサイズ調整等の『リフォーム』についてお話しさせていただきたいと思います。
『リフォーム』には大きく分けて3つの種類があります。
1つ目は、サイズを大きくしたり小さくしたり、または長くしたり短くしたりといったサイズの調整です。
体重の変化によるズボンのウエストの調整や、上衣の袖丈の調整と言ったお直しです。
2つ目は、いたんだ箇所の補修です。すり切れてしまった上衣の裏地や上衿の交換などです。
3つ目は、デザインの変更です。ズボンの裾口をダブルからシングルに変更したり、上衣のフロントカットを少し大きくするといった修正などです。
この中で一番多いお直しは、やはり1つ目のサイズ調整です。特に最近の傾向として、タイト目のスーツが主流になっている為、サイズを詰めるお直しが圧倒的に多くなっています。
ここでご注意していただきたいことがございます。
サイズの調整においてサイズアップの調整は、縫い代の関係から限界があります。箇所によってはほとんど縫い代を置かない部分もありますので、サイズアップ出来ないこともあります。また既製服では縫い代をあまり多く置いていませんので、調整巾が少なくなります。
逆にサイズダウンの調整ですが、一見詰める分には制限が無いように思えるのですが、実はそうではなく、サイズダウンの調整にも限界があります。そして限界を超えた過度な修正は着心地を悪くし、また全体のバランスを崩すことになります。
例えばズボンのウエスト調整や上衣のウエストの絞り加減の調整などは、やり過ぎると最初のパターンから大きく変わってしまい、着心地が悪くなったり他の部分に影響を与えたりします。
また全体のバランスを取りながらリフォームするということもとても重要になってきます。例えゆったりとしたデザインであっても、バランスを取ってデザインされていますので、それに手を加えていく場合、一部分だけを極端に修正すると全体のバランスが悪くなってしまいます。
どうしてもリフォームというと、何か簡単に出来そうなイメージがあるのですが(笑)、実はそうではなく、本当にパターンや縫製を熟知している職人でないと、正しいリフォームは出来ないのです!
「直してよかった!」と思っていただけるリフォームにする為には、しっかりと打ち合わせをする必要があります。ちょっと大袈裟な言い方ですが(笑)、医療に於けるインフォームド・コンセントのように、お客様と店側のコミュニケーションが大変重要になってきます。
お客様がスーツをリフォームしながら長く大切に着ていただける事は、テーラーにとってはとてもうれしい事です。しかしリフォームにはちょっとした難しさもありますので、信頼のおけるお店でご相談をされリフォームされる事をおすすめいたしましす。
2012年07月12日
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