シリーズでお届けしました『お仕立説明』のすぐ後に、普段お客様からよく受けるご質問をまとめ、それにお答えする『お客様からのご質問』シリーズをブログに載させていただく予定だったのが、ちょっとバタバタがございまして長らくストップしたままでした。
しかし今年中に何とか再開したいという個人的な想いから、この年末ぎりぎりのせわしない時期にスタートさせていただくこととなりました(謝)。
今回の『お客様からのご質問』シリーズは全15回を予定しております。
『お仕立説明』シリーズは極力個人的な考えを入れず一般論で書かせていただきましたが、『お客様からのご質問』シリーズはどうしてもそれだけでは上手くご説明できないこともあり個人的な考えも入っております。
その辺りはご容赦下さい。(あまり深く突っ込まないでくださいね・・・笑)
それでは『お客様からのご質問』シリーズ始めさせていただきたいと思います。
お時間ございましたら是非お付き合いください!
ーーお客様からのご質問Part1『”仕立栄え”とはどういう意味ですか?』ーー
『仕立栄え』とは、仕立て上がった服の状態/雰囲気を表現する言葉の一つで、「仕立栄えがする」とか「仕立栄えしない」といった使い方をします。
『仕立栄え』に判断基準というものはなく、主観によるところが大きいのですが、一般的には”パリッと仕上がって高そうに見える(笑)”ものを「仕立栄えがする」と言います。
逆に、仕上がりがパリッとせず、ピリつきが多かったり、服がダレた感じの服は「仕立栄えしない」と言います。
たとえ仕立栄えしなくても、すばらしい雰囲気のあるスーツもありますので、『仕立栄えしないしないスーツ』=『ダメなスーツ』ということではありません。
『仕立栄え』は、縫製よりも生地の性質に左右されることが多く、英国製などのウエイトがしっかりある生地や、横糸が双糸のもの、またモヘア混の素材で張りがあるものなどは、仕立栄えする生地として知られています。
そう言った意味からすると、例えばイタリア製のソフトな生地で、薄い毛芯を使って、肩パットも抜き、マニカカミーチャにして雨降りがある袖のちょっとピリ付き加減のあるスーツなどは、決して「仕立栄えする」とは評価してもらえません(笑)。
ですので『仕立栄え』とは着心地とは全く関係がないもので、見た目だけを言うのです。
着心地とは関係ないと言いましたが、ももちろん『仕立栄え』がして『着心地がいい』スーツというものもあります。『着心地がいい』スーツは誰もが望むものですが、『仕立栄え』に関しては好みの問題になってきます。
また、表生地のデリケートな特徴をカバーする分厚い毛芯を用いればガッシリとした仕立栄えのするスーツが出来上がるかも知れませんが、着心地が損なわれますので、そういうやり方は本末転倒のような気がいたします。
余りにも『仕立栄えしない』スーツというのも問題がありますが(笑)、『仕立栄え』ばかりを気にして生地選びをしたりするのも面白みに欠けるような気がいたします。
2012年12月23日
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